抹茶と粉末緑茶は違うもの?それぞれの特徴を解説

抹茶と粉末緑茶、どちらも粉状で見た目にあまり違いはありません。

しかし、このふたつのお茶には、原料となる茶葉の種類、茶葉の製造方法、味の特徴などさまざまな違いがあります。

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抹茶と粉末緑茶の違いは?

抹茶と粉末緑茶は一見、同じように見えますがどのような点が異なるのでしょうか。詳しく解説していきます。

抹茶と粉末緑茶は原料が違う

抹茶は「碾茶」(てんちゃ)という茶葉を粉末にしたものです。品種は「あさひ」や「さみどり」、「うじひかり」といったものが主に使用されます。

粉末緑茶は「煎茶」を粉末にしたものです。緑茶の栽培品種は、7割を「やぶきた」が占めます。

茶葉の栽培方法と製造工程に違いがある

碾茶(てんちゃ)は栽培中に覆いをして太陽光を遮ります。蒸した後は揉まずに、散茶という工程の後に乾燥させるのです。

煎茶は太陽光を遮らずに栽培され、蒸した後に揉み、針のように細い形に製茶します。

抹茶とは?

そもそも抹茶とはどのようなものなのか、詳しく解説していきます。

抹茶の原料「碾茶」とは?

玉露と同じように茶樹によしずという覆いをして、日差しを遮って栽培します。覆いをする期間は玉露より5日ほど長くなるのです。日光を遮ることで、茶葉は柔らかく、葉緑素が多いため鮮やかな緑色となります。

摘み取られた後は蒸し、酸化をストップさせます。

蒸した後は玉露や煎茶のように揉まず、散茶という工程に入ります。茶葉同士がくっつかないよう、散茶機という機械を用いて温風で舞い上げ、蒸し露を除去して冷却するのです。

その後、碾茶炉で乾燥させ、「荒碾茶」が出来上がります。ここから茎や葉脈などを取り除き、石臼で挽きやすい大きさに形を揃えれば「碾茶」の完成です。

その後、茶道の炉開きなどの茶事のタイミングに合わせて11月まで寝かせ、石臼でゆっくりと挽き、抹茶となります。こうして寝かせることで香りがまろやかになるのです。

最近では、寝かせず新茶の季節にすぐに石臼で挽き、爽やかな香りを楽しむ新しい抹茶もあります。

茶を点ててお客にふるまう形式が確立したのは、室町時代中期以降とされています。戦国武将にも愛され、江戸時代には「茶道」と呼ばれるようになりました。

抹茶の味の特徴は?

旨味成分テアニンが多く、甘みが強く口当たりが良いのが特徴です。カテキンは少ないため、苦味、渋みは少なくなります。

抹茶の価格は?

栽培と製造に手間がかかるため、生産量が限られ価格が高めなのが特徴です。

現在は機械で挽いた抹茶も生産されるようになり、主に製菓や飲料などの加工用とされています。

粉末緑茶とは?

粉末緑茶はどういったものなのか、解説していきます。

原料は「煎茶」

一般的によく飲まれている普通の緑茶(煎茶)の茶葉を砕いて粉末にしたものが粉末緑茶です。
そのため、緑茶の抽出液を粉末にしたインスタント緑茶はお湯を入れると完全に溶けますが、粉末緑茶は溶けることがありません。

粉末緑茶の原料となる煎茶は、抹茶とは製法が異なります。
煎茶は抹茶のように茶葉に覆いはせず、日光に当てて栽培されます。摘み取られた後は、抹茶と同じように蒸して酸化を止めるのです。

蒸した後は、荒揉、揉捻、中揉、精揉といった段階を経て揉まれてどんどん細くなり、最後は針のような細い形に整えられます。

粉末緑茶の味の特徴は?

日光に当たることで、旨味成分テアニンがカテキンに変化します。程よい渋みと苦味が特徴です。

粉末緑茶の価格は?

原料が比較的安価、かつ機械で粉末状にするため低コストで生産できるため、価格はお手頃です。

安いにもかかわらず、緑茶の栄養成分をそのまま吸収できるので、コスパもよいと言えます。

野菜不足を気にしている人やダイエットを目指している人、スッキリできないと悩んでいる人にもダイレクトにアプローチしてくれるのです。

粉末緑茶は栄養素が多い

粉末緑茶は、カテキンが多い上に、茶葉の食物繊維やビタミンA、ビタミンEといった不水溶性の栄養素を丸ごと摂取できるので、健康効果に優れています。日常的に飲むお茶としておすすめです。

意外と簡単!抹茶の淹れ方

敷居の高いイメージの抹茶ですが、家庭で楽しむのなら、難しい作法を気にする必要はありません。

道具については、抹茶を点てる茶筌はあったほうが良いですが、家庭にあるもので代用できます。

準備すべき道具

・茶筅(ちゃせん)
※ミルクフォーマーなど、泡立てができるもので代用可能

・茶杓(ちゃしゃく)
※ティースプーンなどで代用可能

・大きめの茶碗

・茶漉し

抹茶を淹れる手順

【下準備】

・抹茶は、ダマにならないように茶漉しでふるっておきます。量は一人分で1.5~2.0gが目安、茶杓なら1杯半、ティースプーンなら山盛り1杯程度です。

1、茶碗にお湯を注ぎ、茶筅を差し入れて穂先を湿らせ、柔らかくします(茶筅通し)。茶碗もこの工程で温まります。
2、茶碗のお湯を捨て、布巾などで水気をふき取ります。
3、抹茶を茶碗に入れ、80℃くらいのお湯を約60m注ぎます。
4、茶筅で手早く、まんべんなくかき混ぜます。泡を整えれば出来上がりです。茶筅が無い場合は、ミルクフォーマーでもきめ細かな泡を作ることができます。

抹茶を少量のお湯で練ってから一杯分のお湯を注ぎ、ティースプーンで粉っぽさが無くなるまで混ぜても良いでしょう。

抹茶と粉末緑茶は原料からまったく違う

抹茶と粉末緑茶の主な違いは、原料となる茶葉の違い、そして製法ということがお分かりいただけたでしょうか。

粉末緑茶は同じ粉末でもインスタント緑茶とも明確に異なります。
手軽に飲めて便利、おいしくて栄養もとれる上に価格が安い粉末緑茶は普段使いによいでしょう。

ぜひご自身で粉末緑茶と抹茶をうまく使い分けてくださいね。

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