緑茶に効能や副作用はあるの?健康効果や飲みすぎの危険を解説

日本人にとって馴染み深い緑茶は、多くの栄養成分を含み「健康に良い」というイメージがありますよね。

緑茶の健康への影響については、様々な研究結果が報告されていますが、飲み過ぎれば体にとって悪影響を及ぼす可能性もあるのです。

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緑茶が健康維持に役立つ理由

緑茶は正しく飲めば、健康維持に役立ちます。緑茶に含まれている栄養素の中でも、カテキンとビタミンCについて解説していきましょう。

カテキンに期待できる効果

カテキンはタンニンの一種で、苦みや渋みをもつ茶葉の味を決める重要な成分です。

収れん作用をもち、腸粘膜を刺激して腸を引き締め、下痢を改善する効果が期待できます。

また、腸内の悪玉菌を抑制する整腸作用もあるため、腸内環境を整えるのに役立つのです。

ビタミンCに期待できる効果

煎茶の抽出液100mlあたり、6mgのビタミンCが含まれています。ビタミンCは強い抗酸化作用をもち、活性酸素の害から細胞や組織を守ってくれるのです。

また、コラーゲンを合成する時に必要な酵素の働きを助ける「補酵素」として働きます。

ビタミンCは熱に弱い性質を持ちますが、緑茶のビタミンCはカテキンと結びつくことで安定し、壊れにくくなっているのです。

1日に飲んでよい目安量は?

緑茶はカフェインを含みますので、過剰摂取には注意が必要です。後ほど詳しく解説しますが、1日10杯程度までが安心して飲める目安量といえますね。水代わりにゴクゴク飲むようなことは避けましょう。

緑茶の飲み過ぎによる悪影響①カフェインによるもの

緑茶の飲み過ぎによる弊害についても解説します。緑茶に含まれるカフェインは過度に摂取すると、様々な悪影響があるのです。

中枢神経系の過剰な刺激

カフェインは覚醒効果や興奮作用があり、眠気や疲労感を抑制して、日常生活をアクティブに過ごすサポートをしてくれます。

しかし、過剰摂取すると中枢神経系が過剰に刺激され、様々な影響が起こる可能性があるのです。

具体的には、めまいや心拍数の増加、不眠、消化器管の刺激による下痢や吐き気、嘔吐などが挙げられます。

緑茶のカフェイン量と摂取上限量

煎茶やほうじ茶のカフェイン量は、100mlあたり20mgです。ちなみにレギュラーコーヒーは100mlあたり60mg、紅茶は30mgです。

カフェインの適切な摂取量については、各国で様々な機関より注意喚起されています。欧州食品安全機関では、妊婦を除く健康な成人であれば1日400mg以下なら健康リスクは生じない、とする意見書を公表しています(※)。

他のカフェイン入りの嗜好飲料と合わせて、上限量を超えないように注意しましょう。

※内閣府 食品安全委員会
「欧州食品安全機関(EFSA)、カフェインの安全性に関する科学的意見書を公表」

カフェインの影響を少なくする方法

カフェインは80度以上で抽出量が増すので、60~70度の低温で淹れればカフェイン量は少なくなります。

テアニンは低温でもしっかり抽出されるので、旨味のあるお茶になります。

また、カフェインの体内での生物学的半減期は、摂取してから4時間程度と考えられているので、1日の中で複数回飲む場合は、4時間以上空けると良いでしょう。

緑茶の飲み過ぎによる悪影響②カテキンによるもの

カテキンも体にいいイメージがあると思いますが、過剰にとりすぎると悪影響があります。

収れん作用による便秘

カテキンの収れん作用には腸を引き締めて下痢を改善するという効果が期待できます。

しかし、過剰摂取すれば便秘を引き起こすこともあるので、緑茶の飲み過ぎには注意が必要です。

鉄分の吸収を妨げる

タンニンは金属と結合しやすい特徴があり、食事で摂取した鉄と結合してタンニン鉄となると、水に溶けにくく腸での鉄の吸収を妨げると考えられています。

食事中や食後にお茶を飲むのが習慣になっている方も多いと思いますが、食後1時間くらいまでは控えるのが良いでしょう。

緑茶の飲み過ぎによる悪影響③シュウ酸によるもの

緑茶に含まれるシュウ酸も飲み過ぎると悪影響があります。

尿路結石の原因になる

シュウ酸はいわゆるアクの成分で、ほうれん草などの葉物野菜や、コーヒーや紅茶などに多く含まれます。

尿中に排泄されるシュウ酸は尿路結石の原因となり、その多くは食事由来のものとされているのです。

シュウ酸の含有量はお茶類の中では玉露が最も多くなっています。次いで抹茶・煎茶が多く、ほうじ茶は比較的少量しか含まれていません。

カルシウムを摂ることで腸内のシュウ酸と結合して便として排泄されるので、尿路結石のリスク軽減につながります。

緑茶の飲み過ぎで肝障害を引き起こす可能性

高濃度の緑茶抽出物を摂取している人で、肝障害が報告されています。この障害は、緑茶の浸出液や緑茶飲料との因果関係は無いとされているのです(※)。

※厚生労働省
『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』

しかし、肝疾患をもつ方は、緑茶の過剰摂取にも注意したほうが良いでしょう。

万が一、腹痛や黄疸等の症状が出れば、飲用を中止して医師に相談してください。

緑茶で薬を飲んじゃダメ!

緑茶に含まれるカテキンが、高血圧や心臓疾患に使用されるβ遮断薬「ナドロール」の有効性を低下させることが報告されています(※)。

※厚生労働省
『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』

また、気管支拡張剤であるテオフィリン系薬「テオドール」などを服用中にカフェインを多量摂取すると、互いの作用が増強されることで頭痛や動悸が起こることがあります(※)。

※KEGG MEDICUS
医療用医薬品 : テオドール

他の薬剤との相互作用を引き起こす可能性もありますので、緑茶で薬を飲むことは避けましょう。

緑茶は飲み過ぎに注意して正しく飲もう

緑茶は古くから嗜好品として日常的に飲まれていて、その安全性は長きにわたる食経験を通じて担保されています。

しかし、嗜好品であるが故に多量に飲んだり、緑茶の濃縮液やサプリメントを大量に摂取したり、薬と一緒に飲んでしまったりといった場合は、副作用が生じる可能性も否定できません。

緑茶は飲み過ぎることなく、正しい量を正しい方法で飲むようにしましょう。

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