緑茶といっても茶葉の性質や製法の違いから、いろいろな種類に分かれることをご存知でしょうか。緑茶の種類や特徴を紹介していきたいと思います。
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煎茶や玉露は何が違うの?緑茶の種類と特徴
緑茶にはさまざまな種類があります。それぞれの特徴を解説していきましょう。
煎茶
煎茶は“蒸して揉む”という製法でつくられています。
お茶は生葉を摘んだ時点から酸化発酵が始まるのです。
緑茶は新鮮な状態で蒸すことで酸化発酵の働きを止めます。その後、丹念に揉み、乾燥させ保存に耐えられる状態にするのです。
深蒸し煎茶
深蒸し煎茶は名前の通り、煎茶よりも深く、つまり長く蒸したものをいいます。煎茶の2倍くらい長い時間をかけて、じっくりと蒸すのです。
茶葉の奥までしっかりと蒸気熱が伝わるため、形は粉状に変化しますが、お茶を入れたとき、味や色合いが濃く出ます。
玉露
値段が高く高級なお茶というイメージを持っている人が多い玉露。
玉露の製茶方法は煎茶と同じですが、20日~30日の間、覆いを被せて直射日光を避けた茶園のチャの新芽を原料にしているのです。
また玉露は年に1度だけ、機械で摘むことができない柔らかな新芽を、全て手で摘みます。
覆いを被せたり、全て手で摘んだりと、手間がかかっていることから、煎茶よりも玉露は値段が高く高級なのです。
かぶせ茶
玉露の次に高級なのが、かぶせ茶。覆いを被せた茶園のチャの新芽を煎茶と同じ方法で製茶します。
玉露との違いは覆いを被せる期間です。
かぶせ茶の場合は1週間から2週間程度覆いを被せることから、玉露よりも期間は短くなります。
抹茶
玉露、かぶせ茶と同じく、覆いをし、直射日光を避けた茶園のチャの新芽を原料にします。
玉露やかぶせ茶との違いは、積んだ新芽を蒸して、そのまま揉まずに乾燥させるところにあるのです。
ここまでの工程のものは碾茶(てんちゃ)といいます。
この碾茶を低温除湿の状態で保存して熟成させ、最後に石うすで粉にしたものが抹茶となるのです。
玉露・かぶせ茶・抹茶はなぜ覆うのか?
玉露・かぶせ茶・抹茶には覆いをすることを紹介しましたが、なぜあえて日光をあてない栽培をするのでしょうか。
それは、茶葉に含まれるテアニンという、うまみ成分を増やすためです。
というのも、テアニンは、根で作られますが、葉に移動したときに、日光に当たってしまうとカテキンという渋み成分に変わってしまうのです。
よって、覆いを被せ、日光に当てずに育てた葉の、玉露・かぶせ茶・抹茶は、うまみ成分が豊富で、まろやかな味わいになるのです。
どの種類の緑茶にも含まれる栄養成分は?
緑茶の種類について紹介してきましたが、種類を問わず、緑茶にはミネラルやビタミン、カテキン、テアニン、サポニンなどさまざまな栄養成分が含まれています。
では、これらの栄養成分を詳しく見ていきましょう。
ミネラル
ミネラルは新陳代謝が円滑に行われるための重要な栄養素です。
とくに緑茶はカリウムが豊富です。カリウムは余分なナトリウムや老廃物を排出する働きがあり、利尿作用があります。
よって、無駄な水分や血液中の過剰な塩分を尿として体の外に出すので、むくみに効果的です。
ビタミンC
ビタミンの中でも、緑茶にはビタミンCが多く含まれています。
ビタミンCは身体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンというたんぱく質をつくるのに重要です。風邪予防や美肌効果に役立ちます。
また、「ビタミンCは熱に弱い」という話をよく聞きますが、それは酸化型のビタミンCの話で、緑茶のビタミンCは還元型ビタミンCという熱に強いビタミンCが多く含まれます。
よって、温かいお茶でもビタミンCは摂取できるのです。
カテキン
カテキンはポリフェノールの一種で強い抗酸化作用があります。抗酸化作用は、酸化を防ぐ作用という意味で、老化を防ぐことにもつながります。
血管の老化を防ぐことができれば、動脈硬化や高血圧など生活習慣病の予防にも効果的となります。
テアニン
テアニンはお茶の甘味やうまみを作り出している成分です。
脳の神経細胞に作用することからリラックス効果があるといえます。
サポニン
サポニンは鎮静、鎮痛、血圧低下作用、抗ウイルス作用など、さまざまな効果をもっています。
それぞれの種類の緑茶の味や成分の違いを紹介
それぞれの緑茶の味や成分の特徴をみていきましょう。種類によって異なっています。
煎茶
煎茶は爽やかな香りで、うまみと渋みが調和しています。カフェインやカテキンの含有率が高く、ビタミンCが豊富です。
深蒸し煎茶
深蒸し煎茶は煎茶より苦渋みが抑えられており、甘味があります。煎茶よりも香りは弱めです。
成分自体は煎茶と変わりませんが、製法の影響で煎茶より多く栄養素を摂取することができます。
玉露
玉露は覆い栽培を行った茶葉でつくられることから、うま味の含有量が豊富です。渋みとなるカテキンが少ないことから、まろやかな甘みがあります。
テアニンとカフェイン含有量多いのが特徴です。
かぶせ茶
かぶせ茶は低い温度で入れると玉露のような甘味がします。
高い温度で入れると煎茶のような渋みが特徴的です。
煎茶と玉露の中間に位置するお茶として、両方のお茶の楽しみを味わえます。
成分は、玉露と同じくテアニンとカフェインが多く含まれています。
抹茶
抹茶はまろやかな甘味が特徴で、渋みがほどんどありません。
カリウムの含有量が高く、緑茶の中で最もビタミンCが多く含まれます。カフェインの含有量が高いのも特徴です。
インスタント緑茶と粉末緑茶に種類の違いはあるの?
お湯に溶くだけで完成する、インスタント緑茶や粉末緑茶は手軽で便利です。この2つの違いがどこにあるかはご存知ですか?
インスタント緑茶と粉末緑茶で、最も大きな違いは2点あります。それは、製造方法と栄養価です。
インスタント緑茶 | 粉末緑茶 | |
製造方法 | 冷水でも溶けやすいように、一度抽出したお茶をスプレートドライ製法という高温で瞬間的に乾燥し顆粒や粉末化させる手法で製造します。 | 煎茶を粉末にしたものです。 |
つまり一度液体化したものを再度固形化したお茶です。 | ※水では完全には溶けず、溶けきれなかった成分が沈殿します | |
栄養価 | カテキンやテアニン、ビタミンC等、水溶性成分しか摂取できない。 | カテキン等の他、食物繊維やビタミンEなど不溶性成分まで、茶葉の栄養素を丸ごと摂取できる。 |
製造方法が違うことによって、粉末緑茶の方が栄養価の面で優れているのです。
粉末緑茶なら栄養価を余すところなくとれる
緑茶を飲む際、茶葉にお湯を入れて抽出しますが、実際のところ、茶葉の成分が30%程度しか抽出されないとも言われています。この話を聞いてしまうと、多くの栄養を茶葉に残してしまうのはもったいないと感じてしまいますよね。
しかし、粉末茶の場合は、お茶そのものを粉末にしていることから、茶葉の栄養素を余すことなく摂取することができるのです。
インスタント緑茶でも同じことが言えるのではないか、と思われる方もいるかもしれませんが、インスタント緑茶では、粉末緑茶のようにはいきません。
先述の通りインスタント緑茶はスプレートドライ製法という、抽出液を高温で瞬間的に乾燥させてできたものです。
よって熱による茶葉の品質の変化や栄養の損失は、粉末緑茶に比べ、多少なりともでてきます。またインスタント緑茶は品質保持のための添加物が含まれています。
一方、粉末緑茶は添加物が含まれないことから、より健康志向の強い人には粉末緑茶がオススメです。
緑茶と・ウーロン茶・紅茶の違いは?
お茶は全てツバキ科の常緑樹「チャ」の葉から作られますが、加工方法の違いによって、緑茶・ウーロン茶・紅茶などになるというのは有名な話ですよね。
お茶の葉を摘み取ってすぐに加熱し酸化発酵させないのが緑茶、完全に酸化発酵させるのが紅茶、その中間に位置するのがウーロン茶(半発酵茶)です。
ウーロン茶
チャの芽を酸化発酵させ、途中で釜炒りして発酵を止めて作るお茶で、発酵程度は緑茶と紅茶の間に位置します。中国や台湾が主な産地です。
発酵することから、ビタミンやミネラルは緑茶より減少します。
しかし、ウーロン茶に含まれるウーロン茶重合ポリフェノールは脂肪吸収を抑え、脂肪分解を促進するはたらきがあるとされているのです。
紅茶
チャの葉を完全に酸化発酵させ、急速に乾燥させた茶です。
紅茶にもキーマンやダージリン、アッサムなど沢山種類がありますが、それは産地の違いです。収穫された地域や時期が異なることにより風味も大幅に変わってきます。
ウーロン茶と同じく、発酵することから、ビタミンやミネラルは緑茶より減少します。
しかし、抹茶と同じくらいカリウムが多く含まれることから、むくみに期待できるでしょう。
緑茶の種類によって栄養価は異なる
緑茶は、製茶方法の違いで、煎茶・深蒸し茶・玉露・かぶせ茶・抹茶などさまざまな種類があります。
インスタント緑茶と粉末緑茶は製造方法が異なり、よって栄養価も変わってきます。
さらに緑茶・ウーロン茶・紅茶は、茶葉は一緒ですが、発酵の有無や発酵の期間で、色や味が全く別物になります。
緑茶の種類や栄養価、効能などについてご理解いただけましたでしょうか?その日の気分に合わせて、さまざまな種類の緑茶を楽しんでみてください。